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就職応援プロジェクト 支援事例のご紹介②

◇自分のペースで歩き始めた「高校生活」への道◇

 

支援の背景

このケースは、中学校生活のさまざまな困難を経て、進路選択と社会参加に向けて大きな一歩を踏み出したお子さんの事例です。

 

中学校では、祖父による送迎で通学し、給食をみんなと食べることやトイレに行くことも難しいまま卒業を迎えました。

中学3年生の時、担任の先生と福祉サービス・保護者・相談支援事業所で話し合いを重ね、「卒業後は生活訓練を利用しながら進路を決めていこう」と方向が決まりました。

 

生活訓練の開始と広がり

支援は、週3回・1時間の短時間通所からスタートしました。

少しずつ環境に慣れてきたタイミングで、面談だけでなく、体力づくりや掃除、調理などのカリキュラムを取り入れ、本人の「できること」を一つずつ増やしていきました。

特に、入室・退室の挨拶など、小さなコミュニケーションの積み重ねを大切にしたことで、自信が芽生え、「友達がほしい」「高校に行きたい」という本人の“声”が自然に出てくるようになりました。

 

「高校に行きたい」という夢への一歩

その後、単位制のオープンスクールに参加し、高校で「友達と話したい」「ゲームを一緒にしたい」といった前向きな意欲が見られました。

そこで、時間延長のカリキュラムに取り組みながら、会話や共同作業を軸にした訓練を行いました。

まだ給食やトイレに関する課題は残っていますが、ショッピングセンターのトイレが使えるようになったり、気に入った場所では外食もできるようになったりと、生活の幅が少しずつ広がっています。

 

自分のペースで進む力を

本人が選んだヘルメットをかぶって自転車に乗ることも、その小さな挑戦のひとつでした。

周りと比べず、自分のペースで前に進むことを覚えた今、高校生活への期待を胸に、通学と通所のリズムを両立しています。

私たちは、ただ就労を目指すのではなく、

「生きる力」を少しずつ育むキャリア支援を行っています。

 

この支援が、これからの“その人らしい人生”を描く力になりますように。

 

【支援のポイント】

〇通所初期は短時間・低負荷からスタート

〇活動の広がりとともに自己理解・他者理解を育む構成

〇本人の希望や「やってみたい」を大切にした進路選択

〇トイレ・食事など感覚面の課題にも焦らず段階的に対応

〇支援は「卒業」ではなく、「人生の継続支援」へ